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保育園で使用済み紙おむつリサイクル、実証が示したポイント

保育園で使用済み紙おむつリサイクル、実証が示したポイント

保育園に設置した回収ボックス

トータルケア・システム(福岡市博多区、長武志社長)は、使用済み紙おむつを保育園で回収、リサイクルする試験を2021年12月から22年2月にかけて実証した。現状、使用済み紙おむつの大部分は焼却処分されるため、リサイクル促進は二酸化炭素(CO2)の削減でも意義は大きい。保育園や保護者の負担軽減にもつながる。

同社は水溶化処理による紙おむつリサイクル事業を17年間にわたり手がける。福岡、佐賀、熊本、鹿児島各県の合計約200の病院や介護施設のほか、福岡県の大木町、みやま市の一般家庭からの回収分を受け入れる。年間約5000トンを処理。再生パルプは外壁材や内装材など建築資材の原料となる。

保育園で発生した使用済み紙おむつは、保護者に持ち帰ってもらったり、園でまとめて処分したりするケースがある。持ち帰る場合、園側には誰のものかが分かるように1人分ずつ袋詰めして保管する手間がかかり、保護者は帰宅までの取り扱いに注意を要する。同社には関係者の負担軽減による、子育て支援につなげたい思いもあった。そのため実証では家庭での発生分も持ち込んでもらった。

トータルケア・システムが作っている再生パルプ

実証は福岡市内4カ所の保育園で実施した。設置したボックスは、回収の度合いがセンサーで分かる仕組み。スマートフォンやパソコンへ通知することが可能で、一定量になると保育園関係者や収集運搬業者にアラートを発信する。ボックスがあふれることを防ぎ、効率的な回収方法を構築できる。

ックスに付けたデジタルサイネージ(電子看板)では、幼児向け環境教育につながるアニメーションを流した。ボックスには凸版印刷のシステムを採用した。

実証とともに実施した保護者へのアンケートでは、保育園でのリサイクルや費用負担について協力の姿勢が示された。幼児は年齢などにより紙おむつの使用量が異なる。費用を考慮した仕組みづくりが、保育園におけるおむつリサイクルのポイントになりそうだ。

日刊工業新聞 2022年3月8日

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