中国では製販中止するが…ホンダが「アキュラ」EV化を推進する狙い
ホンダは北米で高級車ブランド「アキュラ」の電気自動車(EV)比率を先行して高める。同社は2030年にEVと燃料電池車(FCV)の販売比率を北米で40%、40年に100%にする目標を掲げているが、アキュラについてはこれを上回るペースでEV化を進める。ただ、EV専用ブランドにはしない方針だ。中国では23年にアキュラの製造販売を中止するが、北米では高級車としてのブランド力を活用した上で電動化を進める。
アキュラブランドにおいて北米では24年に米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した大型スポーツ多目的車(SUV)の投入を皮切りに、EVの展開を始める。EVは価格の高さが課題。このため大衆車よりも高級車の方が親和性がある。30年におけるアキュラのEV比率は「かなり高い」(青山真二執行役専務)と見る。
6月上旬にはスポーツモデル「インテグラ」をアキュラブランドから16年ぶりに復活するなど、ブランド強化も図る。ホンダは現在、中国と米国でアキュラを生産。調査会社マークラインズによると、21年のアキュラの販売台数は米国が15万7408台、カナダが1万6404台、中国が5762台だった。
中国ではEVブランド「イーエヌ」シリーズの発売に当たり、アキュラブランドを同シリーズに統合し、23年に製販を終了する。ホンダは高級車ブランドとして1986年に米国、06年に中国でアキュラの展開を始めた。
EVはガソリン車などと比べ価格が高いため、現時点ではユーザーの多くを中・高所得者が占める。トヨタ自動車は35年までに高級車ブランド「レクサス」から販売する全ての車をEVにする。
日刊工業新聞2022年5月10日