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日本の温室効果ガス総排出量は7年連続減、それでも楽観視できないワケ

目標達成へ森林劣化が懸念材料

環境省によると2020年度の日本の温室効果ガス総排出量は前年度比5・1%減の11億5000万トンとなり、7年連続で減少した。新型コロナウイルス感染症が流行して生産活動が落ち込み、排出量が減った。

また、再生可能エネルギーが普及した効果で算出を始めた1990年度以降の過去最少を3年連続で更新した。日本の目標の基準年である13年度比では21・5%減。現状の削減ペースだと「30年度46%減」の目標達成が視野に入るが、山口壮環境相は「達成は決して簡単ではない。気を緩めず、取り組みを継続する」と意気込んだ。

実際、楽観視はできない。21年度は経済活動が復調したため、排出量は増加に転じそう。もうひとつ、森林の劣化も懸念材料だ。樹木が大気中から吸収する二酸化炭素(CO2)が減っている。20年度は4450万トンを吸収したが、13年度比18%も減少した。山林に古い樹木が増えたためだ。

国は30年度に4770万トンの吸収量を想定するが、減少傾向に歯止めがかかっていない。「若い木を増やす」(環境省幹部)とするが、30年度に間に合うのだろうか。国土の7割を森林が占める日本にとって森林保全も重要な温暖化対策だ。

日刊工業新聞2022年5月6日

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