麦わらからバイオ燃料!クボタ・京大・早大が循環システム開発に挑む
クボタは京都大学や早稲田大学と連携し、稲わらからバイオ燃料を製造し、農業や工場、家庭などで幅広く使用するための地域資源循環システムを構築する。稲わらは肥料になる一方、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約25倍あるとされるメタンガスを大量発生させる。クボタのメタン発酵技術と2大学が持つ触媒のノウハウを融合し、稲わらからバイオガスや液化石油ガス(LPG)、水素などを製造し、農業生産への活用を目指す。
3者の役割はクボタが稲わらを回収し、バイオガスやバイオ液肥を地域利用するための仕組み作り、バイオガスなどの製造や利用法の技術開発を担う。
京大は北川宏教授らが金属をナノレベルで組み合わせた合金「多元素ナノ触媒」を開発・供給する。合金は触媒効果を最大限に発揮できる原子構造で、資源の枯渇化など貴金属やレアメタル(希少金属)の課題解決に貢献する。早大は関根泰教授らが触媒の能力を引き出す反応場やバイオガスからグリーンLPG、グリーン水素への変換技術を開発する。
肥料になる稲わらは日本国内で年間約750万トン排出され、そのうち約650トンが農地にすき込まれているとされる。クボタの北尾裕一社長は「田んぼに水を張るとメタンガスを生み、農業活動に伴うCO2排出がある」と稲わら対策の必要性を指摘する。
クボタは稲わらからメタンガスになる成分のみを除去し、資源循環を目指す。将来は海外での応用もにらむ。
今回の事業は環境省の「地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業」の一環で実証実験の期間は2022―29年の8年間。
日刊工業新聞2022年4月5日