研究不正の温床…生命科学研究データ、東大定量研が対応システム開発

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東京大学定量生命科学研究所は国立情報学研究所(NII)と共同で、生命科学分野の研究データを管理する汎用システムを開発した。NIIの基盤上に同分野特有の写真データの扱いなど、定量研のノウハウを機能として追加した。他大学・研究機関も活用できる。論文に疑義が生じた場合に同システムで生データを確認できるため、研究不正の抑止力として期待される。

これは研究論文の生データや、色付けの加工データなどを研究者が登録し、組織的に管理するシステムだ。研究者個人のハードディスクや研究ノートでは、データが紛れやすい問題を解決できる。

定量研は民間サービスのドライブやフォームなどを使った独自システムを、4年ほど運用し論文約200報で実証してきた。しかし汎用性が低く、このままの仕様では他機関で使うのが難しかった。

一方、NIIは日本全体の研究データ管理基盤システム「GakuNin RDM」を持つ。この上に画像データの不正検知の仕組みなど、定量研(IQB)の経験を生かした拡張機能を追加。研究公正管理システム「IQB―RIMS(リムス)」を完成させた。

NIIの基盤がベースで安全性は高い。サーバの選択や研究者・管理者のメール設定など、カスタマイズが可能なパッケージで使い勝手もよい。そのため他大学の利用希望が出てくるとみられる。

生命科学分野は研究対象の個別性が高いため再現性が低く、不正が疑われた時の証明が難しい。細胞分取のセルソーターやゲル電気泳動の写真、質量分析スペクトル、ゲノム配列のシークエンスなど、データが多様で大きい難しさもある。

日刊工業新聞2022年4月21日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

分野別の研究不正の起こりやすさをみると、生命科学分野がダントツだろう。小保方さんのSTAP細胞でもそうだったと思うが、データといっても写真が多く、加工が容易、わかりやすく伝えるための加工もある、といった状況が思い浮かぶ。それだけに、この分野に適したデータ管理の手法が広がると、不正抑止力としての効果は大きいのではないか。

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