成長の余地は…成熟期の化粧品市場でメーカーたちが見出す活路

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歩行動作を分析。美しい歩行に役立てる(資生堂)

化粧品メーカー各社が美容領域への研究開発に力を入れている。資生堂は美しい歩行に関する分析・評価サービスに向けた実証試験を始めたほか、コーセーは脳波とホルモンの作用から心身の状態を把握する研究を開始。カネボウ化粧品を傘下に持つ花王は皮脂中のRNA(リボ核酸)の解析技術を美容室向け商品・サービス開発につなげる。国内の化粧品市場はすでに成熟期にあり、各社は美容領域に成長の余地を見いだそうとしている。(編集委員・井上雅太郎)

資生堂研究所はスタートアップのORPHE(東京都渋谷区)と美しい歩行の評価法基盤を確立し、実証試験を共同で開始した。ORPHEの動作分析システムはセンサー内蔵のスマートシューズからのデータとスマートフォンで撮影した動画により、歩行や姿勢を簡便・精細に分析・可視化できる技術。資生堂は「試験の成果を基に歩行の高精度な分析ときめ細かい改善アドバイスまでの自動化が可能になる」としている。

コーセーは慶応義塾大学理工学部システムデザイン工学科の満倉靖恵教授と、化粧品使用時の脳波の変化に加え、ホルモン作用から心身の状態を捉える共同研究を本格化している。脳波とホルモンの両軸の変化を捉えて新たな美容の力・可能性を明らかにする狙いだ。この研究成果を基に美容提案や商品開発につなげる。

花王はすでに皮脂の中にヒトのRNAがあることを発見し、独自の解析技術を開発している。皮脂中の1万種に及ぶRNA発現情報を解析できるとする。皮脂を採取し、それぞれの肌の状態を把握できるようになる。この技術を活用し、同社はミルボン(東京都中央区)と美容室向けの新商品・サービス開発を開始した。ミルボンは美容室専売のヘア化粧品メーカー。

経済産業省によると、国内の化粧品市場はコロナ禍の影響もあり2021年は前年比8・9%減の1兆3471億円と低迷している。化粧品各社は化粧品市場に近い美容領域やヘルスケア領域などで事業を創出し、新たな成長基盤を築こうとしている。

日刊工業新聞2022年4月26日

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