バイオマス発電関連事業に力を入れるエイブルの躍進
【いわき】エイブル(福島県広野町、佐藤順英社長)は、バイオマス発電関連事業に力を入れる。4月に国内最大規模の出力11万2000キロワットのバイオマス発電所「福島いわきバイオマス発電所」を稼働する。7月には秋田県鹿角市に80キロワットの小型バイオマスガス化コージェネレーション(熱電併給)設備を2カ所完成する予定。福島いわきバイオマス発電所の燃料は全量が輸入木質ペレットとし、鹿角市の設備の燃料は地元山林から調達する。ニーズに応じて燃料を調達し、安定電源として展開していく。
エイブルは大型の福島いわきバイオマス発電所で、バイオマス発電の燃料を輸入するため、関西電力、九電工と共同でエイブルエナジーを設立。4月1日から営業運転に入る。住友重機械工業の循環流動床ボイラを導入。年間44万トンの木質ペレット(水分含有量10%程度)燃料を、全て米国東海岸から輸入する。小名浜港に大型倉庫を建設し、発電所にトラックで輸送する。発電した電力は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)で販売する。
7月に秋田県鹿角市で完成するバイオマスガス化コージェネレーション装置は、フィンランドのボルター製を導入する。ガス化プロセスでタールの発生が少ない特徴がある。燃料の木質チップは地元の山林から調達して地産地消を実現する。発電と熱利用のコージェネレーションで、1基は地域のホテルに電力と熱を供給。もう1基はFITで電力を販売し、熱は温浴施設に供給する。
営業開始後、1年ほどかけて効率的な運用のためのデータを収集し、次のステップとしてさらに新たなバイオマスコージェネ施設なども追加する。市とも連携して地域マイクログリッド(小規模電力網)の実現を目指す計画だ。
日刊工業新聞2022年3月29日