損保ジャパンが「脱炭素保険」の開発で狙うビジネスチャンス
損害保険ジャパンはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた社会の動きをサポートするため、グループ横断の組織で顧客の要望を集めて分析し、新たな保険商品やサービスを開発する。2022年3月までに再生可能エネルギーや水素、アンモニアなどの事業に対応する新たな保険をスタートしたい考え。
世界的な脱炭素の流れの中で、損害保険業界も二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力発電所などの保険は引き受けられなくなっている。一方で再生エネや革新的な技術開発に対し、新たな保険ニーズが生まれており、それらをいち早く取り込んでビジネスチャンスにつなげるのが狙い。
カーボンニュートラルプロジェクトとして、企業マーケット開発部を事務局に7部門が参加した。顧客情報を収集する営業店は任意参加。そのほかリスク調査とメニュー開発をSOMPOリスクマネジメント社の総合企画部・サスティナブリティ部が、情勢・政策調査をSOMPO未来研究所のサスティナビリティグループが、保険設計をコマーシャルビジネス業務部と海上保険部が、官公庁・自治体対応を企画開発部が、社内外のESG(環境・社会・企業統治)の取り組みをサスティナビリティグループが対応する。また関西電力をはじめ大手エネルギー企業と協業し、仮想発電所(VPP)事業などの対応を研究する。
現在、脱炭素関連の保険については世界の再保険会社が積極的に再保険を引き受けており、リスクを回避しながら商品開発しやすい状況にある。損保ジャパンはすでに潮流発電保険やバイオマス発電保険などを開発している。「件数目標は定めないが可能な限り前倒しし、年度内に複数の保険を投入したい」(広報部)としている。
日刊工業新聞2021年10月21日