日産が開発、運転手の有効視野を計測できるシステムの仕組み
日産自動車は北里大学と運転手の有効視野を簡単に計測できるシステムのプロトタイプ(写真)を開発した。運転中に視野への注意を奪われると、見落としや運転操作の遅れを招くといった気づきを計測結果から与える。また視覚の特性への理解を促すことで、特性に合わせた安全確認や安全運転を支援する。
日産の支援や監修のもと、北里大の川守田拓志准教授が中心となり同システムを開発した。計測では実際の運転環境を想定し、注意を分散した状態の有効視野の範囲と、眼に情報が入り運転操作が開始されるまでの反応時間を測定する。実環境に近い運転シーンで有効視野を測れるのが特徴。結果を理解しやすい数値やビジュアルに変換して示すことで、運転手が自らの状況を自覚しやすくした。
有効視野は実際に見えている生理的視野より狭く、走行条件などでも変化する。安全走行には有効視野で見える情報を適切に運転操作に反映させる必要があるとしている。
同研究は日産が北里大などと連携し、2021年3月にネットワーク上に創設したバーチャル研究所「交通安全未来創造ラボ」の成果の一つ。交通死亡事故ゼロを目指し、高齢運転手の交通事故削減などに取り組む。
日刊工業新聞2022年3月18日