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mRNA医薬開発へ、名古屋大が立ち上げたベンチャーの全容

名古屋大学大学院理学研究科の金承鶴特任教授は、メッセンジャーRNA(mRNA)医薬の研究・開発などを手がけるバイオベンチャーを立ち上げた。製造コストや工程数の削減など製造技術に強みを持ち、これらを生かして、まだ治療法が見つかっていない疾患に対する医薬品の開発に貢献する。生産技術と創薬探索基盤を確立するとともに、候補品(パイプライン)を拡充し、設立5年をめどに、ヒトで安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を複数進める計画。

1日付で名大のインキュベーション施設内にクラフトンバイオテクノロジー(名古屋市千種区)を設立している。代表取締役に金特任教授が就任し、取締役最高科学責任者(CSO)に同研究科の阿部洋教授、取締役最高医療責任者(CMO)に京都府立医科大学大学院医学研究科の内田智士准教授が就いた。

金特任教授は有機化学を専門に、核酸やペプチドの実用化に20年以上取り組んできた。

新会社では、現状普及しているmRNA医薬の標準的な製造技術に比べ、低コストかつ高品質に製造できる強みを活かし、がんや感染症、希少疾患などの領域で医薬品の開発を目指す。技術移転型を中心に、自社開発型、共同開発型の3モデルをバランス良く事業展開していく。

日刊工業新聞2022年3月15日

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