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もう自動ドアに衝突しない。透明ガラスを検知するロボット用センサー開発

東大が開発
もう自動ドアに衝突しない。透明ガラスを検知するロボット用センサー開発

透明なガラスが見えるロボセンサーを移動ロボに搭載

東京大学の高畑智之特任准教授らは、透明なガラスを検知できるロボット用センサーを開発した。透明なガラスやプラスチックが遠赤外光を透過させない原理を利用する。自動ドアや開き戸、パーテーションなどにロボットが衝突しないようになる。扉は建物の地図情報にはあるものの、開いているか閉じているか分からない。カメラには映らないが避ける必要があった。

波長10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の遠赤外光イメージセンサーとRGB3色のイメージセンサーを光学的に軸をそろえて撮影する。この映像から機械学習で透明な平面の存在を判定する。RGBでは何もないように見えても、ガラスは遠赤外光を透過せず壁があるように見える。こうして通常の壁とも違うと判定できる。

2種類のセンサーの光軸をそろえたため、映像をマッチングするなどの遅延がない。移動ロボは路面の凸凹でカメラが振動しやすい。2種類の映像に遅延があるとぶれてしまい、機械学習での判定が難しかった。

扉やパーテーションなどの動く、透明な障害物はロボットの地図情報に登録しきれず、ぶつかるリスクがあった。設計を工夫し、配膳ロボなどに載るサイズに小型化した。遠赤外光で撮影しているため通行人の体温を測ることも可能。夜間も人や熱源を探知できる。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究事業で開発した。今後、実用化する企業を探して社会実装を進めていく。

日刊工業新聞2022年3月17日

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