飛行時間3倍、「燃料電池ドローン」がスゴい
ロボデックス(横浜市旭区、貝応大介社長)は、水素と空気を燃料とする燃料電池パワーモジュールを、年内に飛行ロボット(ドローン)メーカー5、6社の機体に搭載し飛行実験する計画を明らかにした。リチウムイオン電池を搭載する汎用ドローンと比べ、飛行時間を約3倍に伸ばせる点が最大のメリット。音も静かなため夜間飛行や住宅地周辺でも扱いやすい。国は2022年末にドローンの目視外飛行規制を緩和する方針で、物流ドローンを中心に将来の置き換え需要を狙う。
燃料電池パワーモジュールの出力は2・4キロワット。2台を並列して同4・8キロワットにアップさせ、水素タンクも付けてドローンに搭載する。可搬重量3キロ―10キログラム、機体重量15キロ―30キログラムクラスの中型ドローンを想定。このクラスのドローンは一般的にリチウムイオン電池のほか、ガソリンやハイブリッドエンジンを搭載している。それを燃料電池パワーモジュールに置き換え、実際の飛行試験を行う。
リチウムイオン電池方式は、充電の関係で1回20―30分しか飛行できないものが多い。往復の物流の場合、片道の飛行時間はその半分になり、用途が限られる。ガソリンやハイブリッドエンジンでは、こうした航続時間の問題は減る半面、騒音が大きくなり「住宅地周辺で使えない。排ガスなどの環境問題もある」(貝応社長)。
ドローンは飛行中の向かい風などで機体が不安定になる。姿勢や出力を立て直すための制御が燃料電池方式の課題となるが、「独自技術で解決済み」(同)としている。価格も量産効果で引き下げを目指す。
日刊工業新聞2022年3月17日