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水とアクリル板で原子レベルの平坦度実現、東大のスゴい研磨技術

水とアクリル板で原子レベルの平坦度実現、東大のスゴい研磨技術

アクリル定盤でガラスを研磨する(東大提供)

東京大学の郭建麗大学院生と三村秀和准教授らは、水をかけながらアクリル板でシリコン基板を研磨し、原子レベルの平坦度を実現した。薬液や研磨砥粒(とりゅう)を使わずに、表面粗さ0・037ナノメートル(ナノは10億分の1)を達成した。ランニングコストは水代と装置の電気代のみ。磨きと洗浄を兼ねた仕上げ処理などに提案していく。

アクリル板を回転させ水をかけながら研磨対象を押しつける。アクリル樹脂は加水分解して表面にカルボン酸が並ぶ。これが化学研磨を起こしていると考えられる。

酸化セリウムなどを研磨砥粒とする場合は酸化セリウムが研磨対象のケイ素と酸素を介して結合を作って引き抜く。同様にアクリル板表面のカルボン酸がシリコンのケイ素と結合して引き抜いていると考えられる。

実際にガラスを研磨すると二乗平均平方根粗さ(RMS)が0・276ナノメートルから0・073ナノメートルに研磨できた。シリコンでは同0・134ナノメートルの基板を0・037ナノメートルに研磨できた。

新技術は薬液や微粒子が残らない。アクリル板は半永久的に使える。研磨レートが遅いため、結晶表面の残留応力の緩和や洗浄などの仕上げ工程に提案する。今後、炭化ケイ素(SiC)などに応用していく。

日刊工業新聞2022年3月7日

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