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トヨタ春闘が満額回答で“異例”の妥結、社長が交渉で語ったこと

トヨタ春闘が満額回答で“異例”の妥結、社長が交渉で語ったこと

豊田章男社長

トヨタ自動車は9日、2022年春闘でトヨタ自動車労働組合が要求した賃上げや一時金に満額回答した。労組は職種や職位別に分けた12区分で1600―4900円の賃上げと、年間6・9カ月分の一時金を要求していた。労組側は回答を受け入れた。集中回答日である16日を待たない異例の形で妥結した。

トヨタの春闘では、これまで計4回の労使交渉を行うのが通例だった。3回目で回答するのは初めてだという。交渉では半導体不足などによる足元の急激な生産変動を受け、豊田章男社長が「足元の生産計画を現実に即したものに見直すことを正式に決定する」と表明。4―6月を「意志ある踊り場」とし、仕入れ先の状況も踏まえて計画を下方修正する方針を明らかにした。

同日オンライン会見したトヨタの桑田正規執行役員は「議論を十分尽くせたことに加え、生産計画見直しの前倒しなど課題に対してすぐに動いていくことを優先したい」と、回答を早めた理由を説明した。初回交渉で満額回答を示唆していたことも背景にある。

このほか交渉では豊田社長がウクライナ情勢に触れ、「ロシアによるウクライナ侵攻に対して激しい憤りを感じている」と言及。

一方で「ロシアでは『町いちばんの会社』として一生懸命やってきたのに厳しい目を向けられ、不安な思いをしている仲間たちもいる」とコメントし、苦しい胸の内を明かした。

日刊工業新聞2022年3月10日

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