核融合炉の実現へ一歩、900℃で機能するスゴイ液体金属

東工大などが合成法を開発

  • 5
  • 32

東京工業大学の近藤正聡准教授らは横浜国立大学、量子科学技術研究開発機構と共同で、核融合炉ブランケットの高性能化に向け、900度Cで機能する液体金属の合成法を開発した。リチウムと鉛を350度Cの低温で一気に混ぜ合わせて高純度リチウム鉛合金とする。また、同合金の900度Cにおける激しい腐食性に耐えられる構造材材料を発見した。水素を製造可能な核融合炉の実現などが期待される。

合成したリチウム鉛合金(東工大提供)

リチウムと鉛は密度が20倍程度異なり、均一に混ぜるのは困難だった。研究グループは、ジャガイモをつぶす器具から着想したマッシャー型かくはん器を使い、減圧環境下で両者を混合。不純物を昇温脱離させ、原子組成において鉛84%、リチウム16%の高純度リチウム鉛合金を10キログラム合成することに成功した。中性子を吸収して放射性物質を作るビスマス濃度や、構造材料を腐食させる溶存窒素濃度も従来の10分の1以下にできた。

また、この高純度リチウム鉛合金を用いて、900度Cまで加熱して各種構造材への耐食性を調べた。その結果、一般に使われる耐食性構造材の316Lオーステナイト鋼は激しく腐食したが、鉄クロムアルミニウム酸化物分散強化合金はほとんど腐食しないことが分かった。同合金は、保護性のある約5マイクロ―10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の酸化被膜を自己形成し、耐食性を維持する。

核融合炉ブランケットでは高効率なエネルギー変換が求められ、液体金属をブランケット内に流す手法が期待されている。900度Cで使えれば核融合炉燃料増殖などに加え水素製造熱源にも応用できるが、従来の液体金属の温度域は大半が600度C以下だった。

日刊工業新聞 2022年3月4日

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる