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農業デジタルツイン研究、理研などが目指すモノ

理化学研究所やNTT西日本など8組織は、農業のデジタルツインに関する共同研究を始めた。温州ミカンを対象に、全国の有機栽培や特別栽培、化学農薬などを使用する従来型栽培の各農場から土壌と土壌の微生物集団、作物を収集し、科学的に分析・数値化する。格納したデータベースと人工知能(AI)エンジンを使って2年後をめどに精密診断法を確立する。土壌を修復・改善しながら自然環境を回復する「ネイチャーポジティブ」な環境再生型農業の普及を目指す。

デジタルツインは、物理空間から収集したさまざまな情報を仮想空間で再現する技術。

化学農薬や化学肥料の利用を控えた環境再生型農業は除草に労力がかかることや、栽培技術が未確立で再現性が低いことなどから従来型の栽培からの切り替えが進んでいない。

共同研究では土壌中の微生物の機能に着目して解析する。まず、各農場内の微生物を評価する。その後、土壌や微生物集団、作物を科学的に解析し、数値化されたデジタルデータを元に果樹の収量・品質に影響を及ぼす主要因を明らかにし、診断法も確立する。

得られたデジタルデータと、NTTが掲げる次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」の最先端技術を組み合わせ、従来のデジタルツインの概念を発展させて、農業における「デジタルツインコンピューティング」を推進する。

日刊工業新聞2022年2月25日

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