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バイオセンサー応用に期待、人工細胞膜にナノポア大量挿入する技術確立

群馬大学の神谷厚輝助教は、生体分子を検出するセンサーとなる薄膜上の小さな穴「ナノポア(ナノ孔)」を人工細胞膜に大量に挿入する技術を確立した。膜の電荷や不均一性が挿入量に与える影響を明らかにした。膜たんぱく質の集積による機能化や、デオキシリボ核酸(DNA)などを検出する高感度バイオセンサー素子への応用が期待される。

ナノポアを形成する外膜たんぱく質のOmpGとOmpAを試験管内で発現させ、人工細胞膜リポソームへの挿入量を評価した。

その結果、リポソーム表面の電荷とリン脂質の炭化水素鎖の不均一性が挿入に重要な役割を果たすことが分かった。リポソーム表面が負電荷で炭化水素鎖が不均一な場合に最も多くなり、最大で約8倍のOmpGを挿入できた。

挿入されたOmpGとOmpAは、膜上にナノポアを形成できていた。膜上のナノポアは、生体分子が人工細胞膜を通過する際のイオンの流れを阻害するため、これを利用して生体分子を高感度に検出できる。

日刊工業新聞2022年2月24日

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