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グロービズ経営大と提携、東大IPCが本格化した大学発ベンチャー育成の仕組み

離職女性向け研修も指導
グロービズ経営大と提携、東大IPCが本格化した大学発ベンチャー育成の仕組み

20年の試行で、離職女性とVBのマッチングは成果を挙げた(ワリス提供)

東京大学の事業会社の東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC、東京都文京区、大泉克彦社長)は、グロービス経営大学院と業務提携し、大学発ベンチャー(VB)の人材育成を本格化した。経営学修士(MBA)取得者がVBの経営に参画するキャリア開発を行う。また東大IPC独自プログラムで、VBバックオフィス業務の担当者となる離職女性向けの研修・紹介もスタートした。

グロービス経営大学院は日本語MBAの入学者数が、2021年度で約1100人と日本最大のビジネススクール。技術イノベーションの科目やビジネスプランコンテストの実施を通して、社会人がMBA取得後、起業に関わるキャリアづくりを進めてきた。東大IPCは投資先のディープテックVBの経営人材で、期待ができるとして提携を決めた。

両者は東大IPCのマッチングプラットフォーム「ディープテックダイブ」を活用しながら、既存VBとMBA人材をつなぐ。起業前からの研究者・MBA人材のチーム作りも手がける。MBA人材が企業在籍のまま副業で関わるなど多様な形を想定している。

一方、離職女性向けの「東大IPCキャリアスクール」は、人材紹介会社のワリス(東京都千代田区)との試行を経て2月に始めた。総務、財務、広報など広範なVBのバックオフィス業務を担う人材育成だ。補助金申請など業務の基礎に加え、「ズーム」「スラック」などVBで多用されるツール活用など身に付けた。VBとのマッチングで就職の橋渡しまで手がける。

日刊工業新聞 2022年2月10日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
東大は学内の現役学生向けの起業家教育も大規模で、ここから生まれた学生発VBも多いという。とはいえ、ディープテックのVBとなると、社会人経験の厚みがありMBAを持つ人材の方が、経営陣にふさわしいかもしれない。またVBのバックオフィスは、何でもこなせる人材が必要で、とはいえ「長時間労働で高給与」という働き方でもなく、子育てなどでいったん離職していた優秀な女性を迎えるのにぴったりだ。いずれも「なるほどぴったり。これまであまり出ていなかったのが不思議なくらいだ」との感想を持った。

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