大学発ベンチャーと海外企業の協業促進へ、経産省が強化策
経済産業省は国内の大学や大学発ベンチャーと海外企業との協業による事業化への取り組みを強化する。特定の大学に担当者を配置して研究室レベルの動きを掘り起こし、大学発の技術を生かした共同研究や海外での販売促進などの動きを広げる。新たに立ち上げた海外スタートアップと日本企業の連携基盤とも連動し、施策の相乗効果を高める。
2020年度から大学を対象に実施しているオープンイノベーション事業と21年2月に立ち上げた海外企業とのマッチングを図る「J―Bridge」事業と連動して展開する。大学の研究室レベルの取り組みや技術を専門のコーディネーターが掘り起こして関心の高い海外企業と引き合わせ事業化までの一連の流れを生み出す。
J―Bridgeが対象とするシンガポールやインドネシア、イスラエル、インドなどの企業と日本の大学が連携して共同での研究や開発を進めるほか、大学発の技術を海外で売り込む戦略を構築する。日本国内で事業化が難しい技術を海外企業と協業することで可能性を広げる。
海外企業との協業を通じ、対象となる大学の実績や経験値の蓄積、国内外で知名度を高める狙いもある。大学発の先進的な技術を社会で生かすため、国内企業だけでなく海外企業も対象に含めた連携を促して地域を軸とした投資の拡大を狙う。今後、有名大学だけでなく地方大学も対象に検討を進め、競争力強化に結びつくシーズを生み出す。
日刊工業新聞2021年5月7日