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データ活用「ラストワンマイル」に伴走する。ドコモ・グーグル・フェイスブックを経験した社長が語る使命

データ活用「ラストワンマイル」に伴走する。ドコモ・グーグル・フェイスブックを経験した社長が語る使命

横山社長

データをたくさん持っていても何からやればよいか分からない―。産業界ではこうした困惑の声が渦巻くが「ビックテック」と称される巨大プラットフォーマーはデータ活用の共有基盤を提供するものの、顧客ごとの個別の要望には応えない。「このラストワンマイルをサポートし、データを使って企業が抱える課題を解決するのが我々の役割だ」。フライウィール(東京都千代田区)の横山直人社長は2018年の創業以来の使命を語る。

横山社長はNTTドコモ時代に「iモード」の海外展開に奔走。その後、米グーグルや米フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)の各日本法人でクラウド事業の立ち上げや新規事業の責任者などを歴任した。

共同創業者の波村大悟取締役最高技術責任者(CTO)も含め、社員50人強のうち35%はビックテック出身者。ビックテックを知るからこそラストワンマイルを担うことの意義を理解し、また「日本のために」との思いも強い。社名のフライウィールの和訳は「弾み車」。「仕事や作業の効率化を加速する弾み車になりたい」との思いを込めた。

「我々は結果にコミットし、そこから今、何をすべきかを考える」(横山社長)。フライウィールでは、ラストワンマイルを伴走するために「業務を理解し、データを分析し、シミュレーションなどのアプリケーション(応用ソフト)を作る」ことを客先に入り込んで行う。

横山社長は「データを集めて分析しても投資対効果(ROI)が上がらないと意味がない」と言及する。目指すは「収益を上げてコストを下げる」こと。データ利活用のプラットフォーム(基盤)「スカエナ」と、アプリケーション(応用ソフト)「コナタ」を軸に実現する。

具体的にはクラウド上にあるスカエナに、客先が持つ多様なデータを集め、人工知能(AI)やオントロジー(システムや理論の背後にある存在に関する仮定)などの最新技術を用いて、コンテキスト(文脈)から意味を導き出す。強みとするのは「パーソナライズ」技術。顧客の属性や趣味、関心などを統計データとして扱うことで、個人情報にひも付くことは一切行わずに、顧客ごとに最適な情報を提供する。

コープ東北サンネット事業連合から受注した商品カタログ配布の最適化では、パーソナライズ化によって、売上高を維持してカタログ配布数を半減するとともに、紙の廃棄ロスも大幅低減するなど環境対策にも貢献した。

アスクルには全社データの横断活用により、電子商取引(EC)販売の収益向上と、在庫の最適化による物流コストの改善を両立させた。パナソニック向けでは、工務店のデジタル変革(DX)を実現するSaaS(ソフトウエアのサービス提供)事業の立ち上げを支援した。顧客層の拡大とともに、弾み車の回転数は加速している。(編集委員・斉藤実)

日刊工業新聞2022年2月10日

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