塗布で製造できる「p型半導体」、東工大が開発
東京工業大学の金正煥助教と細野秀雄栄誉教授らは、塗布で製造可能なp型半導体を開発した。2種類のペロブスカイト型ハロゲン化物を混ぜて電流の流れ具合を調整する。n型半導体の酸化物半導体「IGZO」と薄膜トランジスタ(TFT)を作製し、高い特性を得た。
ペロブスカイト型ハロゲン化物の2次元構造を持つ「PEA2SnI4」と3次元構造を持つ「FASnI3」を組み合わせた。この二つの物質がコアシェル構造を作ることで、高いキャリア移動度とスイッチング機能を両立した。スイッチングの閾値電圧は約5ボルトだった。
このp型半導体とIGZOでTFTを構成し、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)素子を作製すると高い性能が得られた。ペロブスカイト型ハロゲン化物を大気中でも安定化できればフレキシブルエレクトロニクスなどに展開できると期待される。
日刊工業新聞2022年2月4日