大型蓄電池は水没しても安全か、試験の結果は?
製品評価技術基盤機構(NITE)は集中豪雨や河川の氾濫などで大型蓄電池が水没した際の安全性を確認する試験を始めた。発火などの二次災害を起こさず安全停止できるかを試験。国内外のメーカーの蓄電池製品の水没試験と今回得られたデータの分析を通し、製品の安全性を評価する。試験データを蓄電池関連企業と共有し、安全性の高い同製品の開発・普及につなげる。
NITEは学術関係者などのヒアリングを踏まえ、水没試験の共通の基準を作った。共通基準の下、多くの試験を実施することで、データの相互比較が可能になる。蓄電池の製造者やユーザーに向け活用できる試験データを提供できる。
第1弾として、エリーパワー(東京都品川区)と共同で蓄電池の水没試験を実施。水槽に入れた蓄電池ユニットを稼働させた状態で注水し、集中豪雨による床上浸水レベルの水没被害を想定した条件で安全性を調べた。蓄電池システムの異常発熱や火花などは起きず、異常停止モードが働き安全にシステムが止まることを確認した。
今後、蓄電池システムの関連事業者と協力し、蓄電池のセルやモジュールが発火した場合に周辺に燃え広がらないかを確認する「耐類焼試験」など水没試験以外の実験を検討する。
日刊工業新聞2022年2月3日