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時間に縛られず近所で就労を実現するサービス、リクルートが事業化した発端

時間に縛られず近所で就労を実現するサービス、リクルートが事業化した発端

空いた時間で掃除作業に従事(イメージ)

仕事の“地産地消”促進

リクルートが新しい働き方を提案している。空いた時間に好きな時間だけ近所で働く形態で、これを実現するのがマッチングサービス「エリクラ」だ。育児などで会社や店舗が指定する時間の枠で働けない人やシニアらの支持を集め、登録者が急増。人手不足が叫ばれる中、国内に眠る未活用労働力の掘り起こしに一役買っている。(編集委員・大友裕登)

「仕事の地産地消ができる」。リクルートの今里亮介新規事業開発室「エリクラ」プロジェクトオーナーは力を込める。

エリクラはサイトに掲載した仕事に近所の人が応募し、写真付きの作業完了報告を踏まえ対価が支払われる仕組み。仕事の内容は、マニュアルを読めば誰でもできる作業に特化。決められた時間での就労と違い、一定時間内で作業を終えればよく、時間の融通も利く。空いた時間で小遣いを稼ぐ感覚で、自由に働けるのが特徴だ。

事業化の発端は、今里氏がリクルートの住宅情報サービス「SUUMO」の営業をしていた時。不動産管理会社から管理物件の清掃業務で、アルバイトが集まりにくい実態や、各地に点在する物件を回るための移動時間に加え、車のリース代・ガソリン代もかかる課題を耳にした。その課題解決のプランとして「エリクラ」を社内の新規事業提案制度で起案し、グランプリを獲得。2019年7月に営業を開始した。

利用は急速に広がっている。事業開始直後の19年11月時点と現在との比較で、働き手の数は2・3倍、仕事は5・1倍に拡大した。

企業もエリクラに注目しており、導入実績が増えている。例えば、社員が出張で複数の物件を巡回する業務をエリクラに置き換えれば、まず近所の人なので交通費がかからない。登録者と仕事をマッチングするだけなので求人コストも不要。社員は本来の業務に集中できるなどのメリットがある。今里氏は「企業の生産性向上に貢献できる」と強調する。

少子化で生産年齢人口の減少に歯止めがかからない日本。人手不足という言葉が常態化して久しい。まして新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限の影響も大きく、人手不足は深刻さを増す。

今里氏は言う。「企業側が仕事のサイズ・種類を少し工夫するだけで、喜んで働いて頂ける人がいる。我々がしっかり伝えていきたい」。既存の雇用形態にしばられず、視点を変えて仕事を分割してみると、今まで活用されていなかった労働力が浮かび上がってくる。その労働力の活用で生産性向上を促す。

リクルートが訴求する新たな働き方が定着し、生産性向上を求める企業の利用が広がっていくのか注目だ。

日刊工業新聞2022年2月2日

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