デンカが持つ自前の水力発電所、「電力確保」「環境負荷の軽減」ともう一つの役割

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流れ込み式で環境負荷を抑える(新青海川発電所=新潟県糸魚川市)

電力の安定確保のため、創業初期から自前の水力発電で電力をまかなってきたデンカ。当初は不安定だった電力供給の補完でカーバイド製造への影響を抑えることが目的だった。一方、現在では「SDGs(持続可能な開発目標)は経営の羅針盤」を合言葉に、環境負荷軽減に力を入れる同社の“環境経営”の柱となっている。

自前の水力発電所は、河川の流れを滞らせずに一部を取水して活用する「流れ込み式」。一定期間流れをせき止めなくてはならない「ダム式」と比べて人工物の規模が小さいなど、環境への負荷が小さいのが特徴。これまでに新潟県を中心に水力発電所16カ所を展開し、総出力は12万6000キロワット。同社電力消費量の約4割をまかなっている。

展開している水力発電所の分布図。17は来年4月送電開始予定の「新姫川第六発電所」(新潟県糸魚川市)

水力発電所の役割は電力の確保や環境負荷の軽減だけではない。全ての発電所で保守・管理要員などを現地採用しており、雇用の創出につなげている。そのほか、発電所周辺の美化活動や行政と連携して見学会を実施するなど、地方創生の取り組みを展開している。

同社は2030年に二酸化炭素(CO2)排出量を13年と比べて50%削減、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指している。ただ、現時点で水力発電以外は外部からの購入や自前の火力発電で対応しているのが実情だ。桑名進サステナビリティー推進部長は「既存の取り組みの延長だけでは、50年のカーボンニュートラル実現は難しい。新たな取り組みが必要」と説明。目標達成に向けて、水力発電の規模拡大を進めるほか、火力発電の水素発電への転換や、CO2の分離・回収など新技術の開発に力を入れていく。

CO2の分離・回収技術は早期の社会実装を目指し、産業技術総合研究所らと共同で研究開発を進めている。桑名部長は「当社だけでできることには限りがある。外部との連携も強めてSDGsを大きく推進していきたい」と強調する。

日刊工業新聞2021年9月28日

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