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南極地域観測で利用へ、安価に気象観測できる市販ドローンの仕組み

南極地域観測で利用へ、安価に気象観測できる市販ドローンの仕組み

気象計測用に改良した汎用ドローン(極地研提供)

国立極地研究所の猪上淳准教授と北見工業大学の佐藤和敏助教は、市販の汎用飛行ロボット(ドローン)での気象観測の実用性を確かめた。現行のゴム気球を用いたラジオゾンデ観測に比べて0・2度C以内の誤差で大気温度を計測できた。気象観測専用のドローンよりも高精度に測定でき、高頻度高精度で多点展開が可能な計測手法になり得る。

気象観測に特化したドローンは数百万円から数千万円する。そこで市販の汎用ドローンで高精度に計測できる測定法を開発した。モーターや電池などの発熱やプロペラの下降気流などを計測し、ドローンのアームの5センチメートル先にセンサーを配置する計測条件を見いだした。排熱の影響を受けずに十分な風通りを確保できる。

3Dプリンターで日光を遮るケースを作製し、実際にラジオゾンデ観測と比較した。すると高度500メートルで0・2度C高い気温が計測された。計測値はプラスマイナス0・4度Cの振れ幅があった。気象観測専用の機体で計測すると0・5度C以上高く計測された。安価な汎用機で計測できると観測点のない地域のデータを補いやすい。南極地域観測事業で南大洋の観測に利用していく。

日刊工業新聞2022年1月27日

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