京セラが25年めど車載電池参入、展開する「クレイ型」とは?

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車載用電池参入への検討を始めた京セラ製クレイ型リチウムイオン蓄電池

京セラが2025年をめどに、電気自動車(EV)駆動用蓄電池市場への参入を検討していることが明らかになった。住宅定置用電池として開発したクレイ型リチウムイオン蓄電池を車載にも展開。併せて25年ごろまでに外部生産委託を活用して生産容量を倍増し、量産効果などで製造コストを低減する。同社は29年3月期に21年3月期比約2倍の連結売上高3兆円を目指しており、車載電池は成長をけん引する中核事業の一つになりそうだ。

京セラは20年に世界初のクレイ型電池の生産を開始し、自社ブランドの住宅定置用電池として商品化。21年から滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)内に設けたスマートファクトリーで、生産容量年200メガワット時の稼働を開始しており、現在「フルキャパシティーの年2万台には届かないが、販売のフェーズに移る程度の台数になってきた。引き合いは結構ある」(谷本秀夫社長)と、まずは住宅向け定置用蓄電池としての実績作りの局面に入る。

京セラは車載用電池への参入に向け、エネルギー密度を高めた次世代クレイ型の開発を進める。量産は外部委託を検討し、高密度化で小型化が進めばドローン向けセルの開発も視野に入れている。

主要原材料の変更や新しいプロセスの生産ライン導入などで製造原価を低減するほか、住宅向けに展開するための流通コストや工事費の低減も進める。19年時点で工事費込みで1キロワット時当たり約19万円の導入コストを25年には9万円に半減する計画だ。

クレイ型電池は電極に電解質を練り込んで粘土状とした構造で、電解液を用いた従来のリチウムイオン電池と比べて安全性が高いのが特徴。電極にバインダー不要など構造がシンプルで製造コストでも有利とされる。

矢野経済研究所によると車載用リチウムイオン電池の世界市場は、各国の政策などを踏まえた政策ベース予測で、25年に835・1ギガワット時、30年に1809・2ギガワット時と急拡大するとみられている。

【用語】クレイ型リチウムイオン蓄電池=電極材料が、電解液を練り込んだ粘土(クレイ)状の半固体リチウムイオン二次電池。電解液を満たした従来の液系電池と比べ安全性が高く、衝撃で変形しても発火しにくい。また電極の厚さも従来の3―5倍にできるため、製造プロセスを簡素化できるのが特徴。米ベンチャーの24Mテクノロジーズとの共同開発で、京セラが世界で初めて商品化した。まずは固定価格買い取り制度(FIT)の適用を終えた太陽電池と組み合わせた家庭用蓄電システムとして販売を始めている。

日刊工業新聞2022年1月28日

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京セラ クレイ

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