AIで通信品質を高める。KDDIが実用化する技術の全容

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サービスの多様化・複雑化による運用コスト増に備える(東京都多摩市のネットワーク運用拠点)

23年度実用化 品質向上・コスト抑制

KDDIは人工知能(AI)を用いて通信障害の事前予測や、障害発生後の検知から復旧までを自動化する技術を2023年度にも実用化する。IoT(モノのインターネット)やテレワークの普及で通信量が増加し、障害発生リスクが高まる。また、第5世代通信(5G)やネットワーク仮想化など新技術の導入で運用が複雑化している。人手に代わってシステムが自動で判断や対処を行い、通信品質向上や運用コスト抑制につなげる。

ネットワーク運用では、担当者が24時間365日モニターの前で監視、復旧を行うのが基本だ。現在は事前に設定したルールに沿って判断の一部を自動化しているが、人手による運用がメーンとなっている。通信量増加や運用の複雑化に加え、少子高齢化により高い技能を持つ運用者の不足が懸念される。個人の経験や技能に頼らない運用技術の確立は喫緊の課題だ。

KDDIは18年度からNECや日立製作所、情報通信研究機構(NICT)、OKIと連携してAI活用に取り組んでいる。過去の障害や正常時のネットワーク機器の使用状況データを1万件収集してAIに機械学習させ、障害検知や原因特定、復旧手順作成、復旧対処を自動化する。過去の大規模障害時は復旧までに4―18時間かかったが、21年3月末時点で1時間未満に短縮できることを確認した。原因特定精度は90%を超える。

障害検知から復旧装置までを自動化する

総務省は電気通信事業法に基づき、3万人以上が緊急通報電話をかけられず、その状況が1時間以上続く通信障害を「重大な事故」としている。直近では21年10月に起きたNTTドコモの通信障害がこれに該当する。1時間未満に復旧させることで重大事故を回避し、利用者への影響を最小限に抑えることができる。

通信障害の発生前には、ネットワーク機器の中央演算処理装置(CPU)使用率やメモリー使用量が上昇するなどの予兆がみられることが多い。これらのデータをAIに学習させ、予兆発生から3分以内に検知して障害を未然に防ぐ技術の開発も進めている。

KDDIは開発中の運用自動化技術を車の自動運転になぞらえ、一部の判断を自動化し、運用者がそれを支える「レベル3」に位置付ける。特定の業務やネットワークで完全自動化を実現する「レベル4」以降について「5Gの次の世代『ビヨンド5G』で達成されるのでは」と技術渉外部渉外Gの梅木智光課長補佐は話す。(苦瓜朋子)

日刊工業新聞2022年1月7日

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