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ドコモが全国携帯網を強靭化、大規模災害に備える中身とは?

ドコモが全国携帯網を強靭化、大規模災害に備える中身とは?

ドコモの災害対策サイト

 NTTドコモは大規模災害に備え、携帯電話通信網を強靱(きょうじん)化する。2020年3月までに、隣接する県間を光ファイバー網で結ぶ県間伝送路を全国で多経路化する。現状の2経路では2カ所以上で光ファイバーケーブルが断線すると、広範囲で通信障害が発生する。3―4経路化することで、複数地点で断線しても迂回(うかい)路を通じて通信を維持できるようにする。多発する自然災害への対応力を高め、被災の削減につなげる。

 NTTドコモは11年3月の東日本大震災を契機に、本社と全国8支社間を結ぶ光ファイバー網の主要経路「支社間伝送路」の多経路化に着手した。例えば、北海道―東京間の支社間伝送路は太平洋ルート、日本海ルートの2経路があったが、東日本大震災で太平洋ルートが切断された。日本海ルートも停電などで使えなくなった場合、広範囲で携帯電話が使えない恐れが出たことから中央ルートを新設して3経路化。すでに全国で支社間伝送路の多経路化を終えている。

 支社間伝送路に次ぐ主要経路「県間伝送路」は、16年8月の北海道豪雨災害を契機に多経路化を始めた。同災害では北海道の支庁間を結ぶ伝送路(北海道は広大なため、支庁間を県間とみなす)の複数地点で障害が発生し、広範囲で通信障害が発生したからだ。北海道では19年3月までに県間伝送路の多経路化を完了。20年3月までに全国の県間伝送路を多経路化する。

 多経路化に合わせ、任意の波長を任意の経路に競合なく自動で割り当てるCDC装置も導入し、従来は人手で行っていた迂回路の設定を自動化する。今後は、県内を光ファイバー網で結ぶ「県内伝送路」も自然災害で障害が発生しやすい地域で多経路化する。

 ドコモは停電時でも2日間無料で充電サービスを提供できる蓄電池を全国に約2400店あるドコモショップ全店に設置するなど、19年度までに200億円規模の災害対策を追加実施している。県間伝送路の多経路化もこの一環になる。
                   
日刊工業新聞2019年6月5日

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