マイクロ波でレアメタルを精製。QSTと大阪大発スタートアップが共同研究
量子科学技術研究開発機構(QST)と大阪大学発スタートアップのマイクロ波化学(大阪府吹田市)はマイクロ波を使い、省エネルギーで希少金属(レアメタル)を精製する技術の大型化に向けた共同研究を始める。
これまでよりも二酸化炭素(CO2)排出量を90%以上削減する。脱炭素に貢献しつつ、レアメタル精製できる技術を確立する。2028年のリチウムや核融合反応で使うベリリウムでの実用化を目指す。マイクロ波化学はプラントの大型化に向けて協力する。
今回の共同研究では、QSTが開発した250度以下でベリリウムを精製する技術を大型化する。これまでは2000度で加熱した鉱石を急速に冷やし、ガラス状にすることでベリリウムを溶解していた。開発した技術では鉱石と塩基試薬を粉末状にして混ぜ合わし、マイクロ波を直接当てて加熱し溶解する。既存の方法よりエネルギーを効率を高め、省エネルギー化を実現する。
QSTの中道勝グループリーダーは「(この技術は)ベリリウムのほか、リチウムや希土類(レアアース)でも応用できる」と展望を話す。今後行う実証実験ではリチウムの精製から始める。25年ごろのパイロットプラントの稼働を目標に掲げる。当面は鉱石を対象に研究開発するが、将来的には金属リサイクル分野での活用も想定する。
リチウムは二次電池の主要金属で、電気自動車(EV)の増加により需要増加が予想される。また、ベリリウムは核融合反応で中性子を増殖させるのに必要な金属。今後、脱炭素の流れが加速する中で二次電池などに使われるレアメタルの需要増加が予想される。
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