中国を攻める曙ブレーキ、EV向けで受注拡大なるか
曙ブレーキ工業は中国で現地自動車メーカーからブレーキの受注を拡大する。車両重量が重く、高性能ブレーキへの引き合いが強い電気自動車(EV)やスポーツ車向けを中心に提案する。シミュレーション技術などを駆使して納期を半減し、短納期ニーズにも応える。2024年3月期までに中国事業の売上高に占める現地車メーカー向けの比率を現状の数%から約2割に高める。
EVといった電動車では電池などで重量が増加。モーター駆動でトルクも大きくなるため、制動力の高い高性能ブレーキへの引き合いが強まっている。
そこで曙ブレーキはモータースポーツ車向けブレーキの開発で培った技術を応用して制動力を高めた「オポーズドタイプ」を展開する。このオポーズドタイプを武器に現地メーカーに攻勢をかける。すでに複数車種で受注を獲得した。
中国資本の自動車メーカーは、新車の開発期間が日米欧の既存のメーカーと比べ約半分と開発サイクルが短い。曙ブレーキは実車や実験設備での検証を減らし、開発期間を短縮できるシミュレーション技術などを活用して納期を大幅に短縮した。
製品力の高さと併せて短納期を訴求し、受注拡大を図る。また米国の新興EVメーカーからも高性能、短納期といったブレーキの需要は強いと曙ブレーキはみて同国でも提案を積極化する。
事業再生計画を進める同社は、米欧で工場を閉鎖するなど構造改革を進める一方、成長戦略として新商品の開発や顧客開拓による新規ビジネスの獲得を掲げる。米中メーカーからのEV向け中心とした新規受注の拡大は、再建を軌道に乗せる上でも重要になる。
日刊工業新聞2022年1月20日