「LIB用セパレーターフィルム装置」手掛ける滋賀の中小企業、環境配慮工場を新設する狙い
市金工業社(滋賀県草津市、川口剛史社長)は、栗東工場(滋賀県栗東市)の隣接地に環境配慮型の新工場(イメージ)を建設する。太陽光発電を採用して工場内の冷暖房や照明に活用、雨水を工業用水として再利用する。投資額は約5億円。2023年春の完成を予定する。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を意識し、同社の主力であるリチウムイオン二次電池(LIB)用セパレーターフィルム製造装置など旺盛な需要に対応する。
新工場の敷地面積は約3800平方メートル、延べ床面積は約1380平方メートル。LIB用セパレーターフィルムや光学用フィルムなどの製造装置組立工場とする。新工場建設を皮切りに、隣接する栗東工場と、グループ会社の敷地面積約9000平方メートルとを合わせた全エリアを複数年かけて整備する計画。
このほど商工中金大津支店と災害対応型コミットメントラインとして10億円の融資契約を結んだ。新工場建設費に活用する。
同コミットメントラインは震災など異常事態発生時でも融資枠の範囲内で迅速に資金調達が可能。装置の組み立てに必要なユニットや部品を製造する協力会社が被災した際にも活用でき、事業継続計画(BCP)対策にもなる。
市金工業社はLIB用セパレーターフィルム製造装置が売上高の約8割を占める。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けて電気自動車(EV)などの需要拡大に伴い、同社工場もフル稼働が続く。21年3月期の売上高は約66億円。
日刊工業新聞2022年1月13日