地下鉄が「猫バス」に?東大のダイナミックプロジェクションマッピングが面白い【動画あり】
秒間1000コマで高速変形
東京大学の宮下令央特任講師と石川正俊特任教授らは、1秒1000コマの高速で変形したり揺れたりするダイナミックプロジェクションマッピング技術を開発した。固く変形しない投映対象に軟らかさを加えるなど、質感を変えることができる。エンターテインメントの舞台演出や公共機関の動的表示などに提案していく。
動く対象の位置や向きを計測してプロジェクターで映像を投映する。この映像は物理シミュレーションで粘弾性や変形を計算して生成する。例えば心臓の石膏像に心臓の3次元(3D)モデル映像を投映する場合では心臓を揺するとぶるぶると振るえたり、拍動したりとリアルな演出が可能になる。
物理シミュレーションはゲーム向けに開発されてきたため1秒60コマ程度の技術が多かった。今回1秒1000コマの高速処理を実現した。変形しても投映対象の輪郭からはみ出さないように処理する。すると固い対象が軟らかく見える。
計測から物理シミュレーション、映像生成、投映までを1秒1000回の高速で実行する。すると動く対象の質感や形が変わったように見える。舞台などでは演者が動くため高速に追従し、同時に質感変化も間に合わせる必要があった。
地下鉄などでは動く車体にディスプレーを搭載して周囲の人に情報を提示する。ダイナミックプロジェクションマッピングでは車体ではなく、駅などの環境側に機器を設置して質感変調やメッセージを提示する。
地下鉄を〝猫バス〟に変えるような演出につながる。
日刊工業新聞2021年12月29日