聖徳太子が拡縮自在、北斎の「大波」も体感できる!?国宝をデジタル鑑賞できる時代に

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スマホで聖徳太子絵伝を拡大した(イメージ)

第5世代通信(5G)や仮想現実(VR)など最新技術を用いた文化財のデジタル観賞の開発が加速している。KDDIは東京国立博物館(東京都台東区)などと連携し、国宝「聖徳太子絵伝」を細部まで観賞できるサービスを29日に開始。凸版印刷はVRを用いた唐招提寺(奈良市)バーチャル拝観サービスを始めた。コロナ禍で来場者数が減る中、新たな展示で付加価値を高める。自宅など遠隔からでも楽しめる鑑賞法の普及につなげる。(苦瓜朋子)

「肉眼で見る絵伝とは別に、もう一つの絵伝が誕生した」―。東京国立博物館の竹之内勝典総務課長は、KDDI、文化財活用センターと17日に発表した文化財鑑賞プロジェクトの特徴をこう説明する。

プロジェクトでは、東京国立博物館内の法隆寺宝物館に5Gネットワークを構築。聖徳太子の一生が描かれた国宝「聖徳太子絵伝」の複製画パネルの前で5Gスマートフォンをかざすと、1面当たり18億画素の高精細画像で細部まで鑑賞可能。高速大容量通信の5Gで高精細画像を円滑に拡大縮小できる。

複製画パネルの前で拡張現実(AR)グラスをかけると、聖徳太子の生涯をたどる代表的な15のエピソードを観賞可能。コロナ禍で博物館に来館できない人向けに、スマホで15のエピソード映像を鑑賞できるサービスも提供する。

KDDIは同プロジェクトを足がかりに文化、芸術領域での5G活用を推進する。繁田光平サービス統括本部5G・xRサービス戦略部長は「最先端技術で新たなコンテンツを付加し、文化財、芸術作品への興味を高めたい」と述べた。

北斎の「大波」VR体験

NTT東日本は2019年にアルステクネ・イノベーション(甲府市)と連携し、山梨県立博物館が所蔵する葛飾北斎の「富嶽三十六景」の高精細複製画を展示する取り組みを行った。

視聴者の手の動きに反応して星が流れる「星降る夜」

「神奈川沖波裏」をディスプレーに映し出したコーナーでは、視聴者の位置をセンサーが認識し、視聴者がゴーグルなしでも大波の中に入り込んだかのように感じるVR体験ができる。北斎の影響を受けたゴッホの作品「星降る夜」の前に立った視聴者が手を振ると、流れ星が流れ、星が光るプロジェクションマッピングも用意した。

凸版印刷とトッパントラベルサービス(東京都港区)は、VRを活用したオンラインツアーの提供を始めた。世界文化遺産の唐招提寺のVR拝観や都内の浮世絵工房のバーチャル見学のプログラムを先行販売する。

今春に国内で商用化した5Gは、データ通信速度が4G比約100倍の1秒当たり10ギガビット(ギガは10億)、伝送時の遅れが同10分の1の1ミリ秒(1000分の1秒)を実現する。コロナ禍で外出を控える動きが続く中、5Gで大容量のARやVR映像を自宅で楽しめるようになれば、来場客減に悩む展示施設からの需要も増える。新たなデジタル鑑賞の供給に向け5Gの迅速な普及が待たれる。

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AR VR

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