半導体メーカーに提案、「地下水価格マップ」の価値
日さく(さいたま市大宮区、若林直樹社長)は産業技術総合研究所と連携し、デジタルデータ「地下水価格マップ」を2022年1月をめどに完成する。全国を各市町村や地域ごとに500メートルメッシュで区切り、地下水量のほか対象の地下水の価値を示す価格を表示する。同社はマップ活用により災害用井戸を建設したい自治体や、きれいな地下水のある地で工場建設を目指す半導体メーカーなどへの提案を強める。
日さくは、さく井工事が主力事業。これまで顧客からの問い合わせによって動く「守りの事業展開」「待ちの営業」が通例となっていたという。だが近年はさく井工事も価格競争の波が到来しており「今後は先行して社外に提案活動する基盤を作り、顧客の幅を広げる」(若林社長)必要があると判断。実現に向け、産総研と共同研究契約を締結した。
産総研が持つデータベースを用い、全国に存在する地下水の量や動き方を解析している。さらに21年4月には同社内に「地下水研究グループ」を立ち上げ、地下水に関する知識の伝達、地下水に関する課題・問題解決に取り組んでいる。
地下水価格マップは、地域にどの程度の地下水があるのか、また万一環境汚染の可能性がある場合はどの程度掘ったら悪影響が出るのか、といったデータを含む。
災害用井戸や工場建設のほか、地中熱などの再生可能エネルギーの有効活用にも寄与しそうだ。
日刊工業新聞2021年12月24日