映像を投影できる頭部型タッチスクリーン開発、使い道は?
北陸先端科学技術大学院大学の錦織さくら大学院生と佐藤俊樹准教授は、頭部の全周を接触検出し、映像を投映できる頭部型タッチスクリーンを開発した。透明な頭部マネキンの内部から目に見えない赤外光を照射して、頭部に手が触れると赤外光が反射する。この反射光をカメラで撮影する。可視光で映像を投映することも可能。頭を触る手を計測しながら映像で指示を出せる。ヘッドマッサージや顔のエステなどの定量評価や訓練に提案していく。
頭部マネキンの首側から63個の赤外光LEDで頭部表面を均一に照らす。マネキンの頭を触ると赤外光が反射してカメラで捉えられる。顔面や頭頂部、側面、後頭部など全周計測が可能。手の接触位置と接触形状、面積などがリアルタイムに計れる。プロジェクターとカメラは光が同軸構造のため、マネキンの頭を取り換えても位置合わせがいらない。
手の計測と投映が同時にできるため、手の動きに合わせてマッサージのラインや動きを頭に表示させることも可能。ぬぐった面積や回数を表示すれば施術を見える化しやすくなる。マネキンの外側に感圧センサーなどを配置しないため水洗いができる。クリームや泡なども検出できると見込んでいる。
現在は最初の試作機で技術のコンセプトを確かめた段階。マッサージ評価などのアプリケーション(応用ソフト)は個別に作っていく必要がある。マネキンを透明エラストマーで覆うことで圧力なども推定できるようになる。今後、頭皮や毛髪への対応を進める。
日刊工業新聞2021年12月21日