ITジャーナリスト・鈴木朋子がCESで体感した注目の「曲がる」ディスプレイたち
世界初の折り曲げられるスマホ「FlexPai」(中国・ROYOLE)の実機が展示されてから一年、今年ラスベガスで開催されたCES2020では、折り曲げられるディスプレイや曲面ディスプレイなど、ディスプレイの進化を感じる発表会となった。本稿では、その中から注目すべき製品を紹介していく。
フォルダブルスマホ「razr」
米モトローラとVerizonは、スマホとPCも折り曲げられるディスプレイを搭載する製品を出展した。フォルダブルAndroidスマホ「razr」は、人気を博したフューチャーフォン「RAZR」の後継とも言うべきモデルだ。
ディスプレイは有機ELの6.2インチ。縦横比は21:9。縦に折り曲げる際の体感は、まさにフューチャーフォンのそれで、少し折り曲げるだけで自然と閉まる。側面から見ても、ぴったりとすき間なく折れ曲がっている。
ディスプレイは縦、横表示のほか、上下2分割も可能。さらに、折りたたんだときにはサブディスプレイが表示され、通知の確認やセルフィー画面として利用できる。重さは205gと軽量なため、折りたためば小型で持ち運びやすいスマホとして重宝するだろう。razrは1499.99ドルで発売中だ。
フォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold」
LenovoはフォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold」を発表した。13.3インチ(画面解像度2048×1536)の有機ELディスプレイを搭載する本体は、半分に折り曲げることができる。同社によると、画面が折りたためるPCは「世界初」とのことだ。
折り曲げた際にすき間ができ、ここにBluetoothキーボードを挟み込んで持ち歩くことができる。外装は本革で覆われており、折りたたむとまるで皮の手帳のような外観となる。タッチ操作やペンによる手書きにも対応しているため、PCを手の上に載せて手帳のようなスタイルでの入力も可能だ。
背面のフリップを広げるとスタンドにもなり、手前にキーボードを置けばデスクトップPCのようにも使用できる。さらに、キーボードはディスプレイ上でマグネットにより固定されるため、画面の上半分を見ながら操作するなど、小さなノートPCのような利用スタイルも可能だ。
実機を触ってみたところ、折り曲がるディスプレイ部分に折り目などは感じられなかった。ヒンジの部分の耐久性は4年以上開発に費やしたという。本体の厚さは7.8ミリ、単体重量は約999gと軽量だ。「ThinkPad X1 Fold」はWindows 10搭載モデルを2020年半ばに発売、価格は2499ドルを予定している。その後、「Windows 10X」バージョンの発売となる予定だ。
昨年「FlexPai」を公開したROYOLEは、曲面タッチスクリーン搭載のスマートスピーカー「Mirage」を発表した。ディスプレイは7.8インチ(1920x1440ドット)で、スピーカーの約半周を覆っている。映像を見ながら360度に広がる音楽を楽しむもよし、Amazon Alexaを使って天気予報などを表示させてもよい。
スピーカーは3×48mmのフルレンジドライバーとパッシブラジエーターを備える。Bluetooth、Wi-Fiに対応し、5メガピクセルのカメラも搭載されている。アメリカ版は899ドル、イギリス版は799ポンドで2020年4月以降発売予定だ。
また、ROYOLEには厚さ0.01mmのフレキシブルディスプレイが風になびいている様子や、帽子にディスプレイが付いている「Flexible Top Hat」なども展示されていた。
曲面ディスプレイや透明ディスプレイ
LGエレクトロニクスは昨年同様、会場入り口に大きくうねった形状の大型曲面ディスプレイを展示していた。その迫力と美しさに足を止める人々が多かった。
hpは、43.4インチの曲面ディスプレイ「S430c」をCES併催イベント「Digital Experience」に展示した。米国ではすでに発売中で価格は999ドル。24インチディスプレイを2台横に並べたサイズで、2台のデバイスを接続可能。「HP DeviceBridge」により、デバイス間でマウスやキーボードを共有することができる。本体サイズは1057×140.8×361.9mm、重さは14.3kg(スタンドなしの場合)。
※「ThinkPad X1 Fold」、および「S430c」の画像は「Digital Experience」にて撮影。それ以外の画像は「CES2020」にて撮影