東証市場の再編迫る。「プライム」「スタンダード」「グロース」体制をまるっと解説
東京証券取引所が運営する株式市場の再編まで半年を切った。東証は2022年4月に1部、2部、マザーズ、ジャスダックの市場区分を、プライム、スタンダード、グロースの3市場に移行する。上場企業は21年12月30日までに新市場を選択する。みずほ信託銀行の企業戦略開発部によると東証1部上場企業約2200社のうち、10日時点でスタンダード市場の選択を表明した企業は180社だった。プライム市場上場を望む1部上場企業の中には、流通株式時価総額などの基準を満たせずにスタンダードを選択する企業も多い。東証は各企業の選択結果を22年1月11日に公表する予定だ。
4月4日の市場再編に伴って、東証は各市場のコンセプトを明確にし、流通株式の時価総額や比率などの基準を設けた。プライム市場の上場基準は、流通株式の時価総額が100億円で流通株式比率は35%、スタンダード市場は同10億円・同25%、グロース市場は同5億円・同25%と定めた。株式の流動性を向上させるため、流通株式から10%未満の政策保有目的の株式は除外することにした。それを受けて流通株式を増やすために政策保有株の売却などの見直しが進んでいる。
選択市場の基準に不適合の場合は、企業価値向上や株式の流動性を高めるための計画書を開示する必要がある。改善に取り組むことで当面は経過措置として現行の上場維持基準が適用される。日本取引所グループ(JPX)の清田瞭グループ最高経営責任者(CEO)は、「経過措置は永遠ではなく一定期間になる」とクギを刺す。
現在の1部には時価総額が数十兆円から数十億円規模まで混在している。また新市場区分では上場と上場廃止基準が同基準になるため、これまでのような大きな乖離(かいり)がなくなる。清田CEOは上場企業に対して「(選択市場の)基準を常に達成、維持してもらう必要があり、緊張感の持続が求められる市場区分への移行になる」と強調する。