日本製紙が試作品開発へ、「セルロースナノファイバー蓄電体」の実力値
日本製紙は東北大学と共同研究する木材由来の新素材、セルロースナノファイバー(CNF)による蓄電体の開発で、2022年度にも協業を拡大する。実用化のため素材の乾燥、形状の平面化や大型化を図るため、企業などパートナーを増やす。25年の大阪・関西万博に向け、太陽光パネルへの貼り付け型、モバイル機器への装着型など試作品の開発を目指す。
東北大未来科学技術共同研究センターの福原幹夫リサーチフェローとの間で、CNFが持つ高い蓄電効果を確認しており国際特許を申請中。CNFの表面にナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの凹凸面を作り出し、乾式で軽量の物理蓄電体の開発を進めている。
この一環として日本製紙は8日、CNF蓄電効果による発光ダイオード(LED)の点灯検証に成功したと発表。デバイスサイズは20平方センチメートル、膜厚は50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。初歩的成果だが、今後容量の拡大やパッケージ化などを進めていく。
CNF蓄電体は従来の電気化学的蓄電池と違い、リチウムなどレアメタル、電解液が不要で安全性も高い。現時点では500ボルトまでの高電圧に耐えられ、数十秒で充電可能で劣化しくにいという。
日刊工業新聞2021年12月10日