鋼材・輸送運賃の高騰に対応する、コマツ「世界工場」の強み
コマツは鋼材などの原材料高に対応し、世界各地にある拠点を有機的に連携させる。中国からロシアやインドネシアに中型油圧ショベルを輸出するほか、インドから中近東・アフリカへ、タイから南米へ、それぞれショベルの輸出も計画。鋼材に加え海上輸送運賃も高騰する中、「世界各国に工場を持つ強みを自在に活用する」(小川啓之社長)考えだ。
生産能力に余剰が生じた中国工場から、ロシアとインドネシアに中型油圧ショベルを2021年度中に各500台、22年度は各1000台輸出を計画する。また中国工場から北米や日本向けに、建機の板金部品の輸出も増やす。
コマツは建機のコンポーネントであるエンジンや油圧制御などの基幹部品を日本国内で集中開発・一貫生産し、海外にある工場に供給、現地で部品を組み立てる国際分業体制を敷いている。
原材料費や物流費、為替相場などが日々変動するため、毎月、販売部門と生産部門が集まる会議を開き「どこの拠点からどこの拠点に供給する方法が最も効率的か、話し合って決めている」(小川社長)。月ごとの開催のため為替や原材料費の急変に対応し、変更できるのも強みだ。
中国は9工場で年1万5000台強の生産能力を持つが、景気低迷や住宅不況で建機の需要が落ち込んでいる。他方で鋼材は日本に比べると1割ほど安く、輸送費や関税を含めても割安になるため、安価なショベルや板金溶接部品の供給拠点として活用する。
インドやタイの工場も生産余力があり、特にインドはコロナ禍の影響を受けた反動で余力が大きい。輸送距離でも日本からショベルをアフリカへ輸出するより、インドから輸出する方が「早く送れるし、安上がり」(同)とする。タイも安価な労働力が多い利点を生かす。
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日刊工業新聞2021年11月18日