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三菱商事に三井物産も続いた。商社が貿易業務の電子化 “かじ取り” 担う

商社による貿易業務の電子化支援が広がりを見せている。三菱商事に続き、三井物産が中国企業などと共同で事業会社「トレードゴー」を設立、2022年中のサービス開始を予定する。貿易業務を電子化することで企業は手間や管理コストを削減できるほか、紙書類を減らし物流の最適化により二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられる可能性もある。(森下晃行)

両社は貿易業務を電子化するプラットフォーム(基盤、PF)を提供する。トレードゴーには三井物産をはじめ中国エネルギーのシノケムエナジーやペトロチャイナ、豪州金融のマッコーリーCGMなど10社が参画。アジアを中心に展開する予定だが、まずは中国との貿易に特化してサービスを開始する。

これまで中国との貿易における電子化PFはなく「さまざまな企業がトレードゴーに共同出資したため特定の業界に偏らず、PFの公平性が保たれる」(三井物産)という。既に大手鉄鉱石サプライヤーや製鉄会社などが関心を示しており、将来的には売り手と買い手を結びつけるマッチング機能の追加を目指す。

商社発の貿易電子化PFとしては三菱商事やNTTデータなどが立ち上げたトレードワルツ(東京都千代田区、小島裕久社長)が先行している。21年10月時点で20社がサービスを試験的に導入。22年10月からはタイ、シンガポール、ニュージーランド、豪州の貿易PFと連携する。従来の民間企業に加え、初めて各国の公的な貿易PFと連携することでサービスを拡充する。

貿易が活発化する中、信用状や船荷証券などの貿易書類は紙が中心で、管理に手間がかかっていた。PFの導入により書類関連の作業時間やコストを大幅に削減できるだけでなく、トレードワルツの染谷悟取締役CEO室長は「脱炭素に貢献できる可能性もある」と指摘する。

同社は75%の紙書類を電子化すると最大で約4万2000トン以上のCO2削減が可能と見積もる。三井物産も「書類を送るための国際宅急便を使わないため、物流過程で出るCO2を減らせる可能性がある」という。

一方、PFの普及における課題は法整備だ。例えば日本では書面の船荷証券が前提とされており、電子化されたものには明示的に対応していなかった。現在は民間企業がコンソーシアムを組んで政府に働きかけ、徐々に規制改革が進んでいる。各国の法制度においても電子化への対応が急務だ。

日刊工業新聞2021年12月3日

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