ソフトクリームが作れる。「かわいい」客寄せロボットの正体
コネクテッドロボティクス(東京都小金井市、沢登哲也社長)のソフトクリームロボットが飲食店で活躍している。サーバーから出てくる棒状のソフトクリームを巻く作業から提供まで担う。省人化による作業効率向上のほか、衛生管理強化にもつながっている。犬や牛などさまざまな“顔”を持つ客寄せロボットでもある。導入店では子ども連れ客に人気で「かわいい」と話題になる。ロボットが店舗にも客にも笑顔の輪を広げる。(渋谷拓海)
ソフトクリームをコーンや紙製カップにきれいに巻くのは意外と難しい。一定の練習が必要で、新人がきれいに作れるようになるまでには時間がかかる。そのためレバー型のソフトクリームサーバーでは1個当たりの使用量に差が生じやすく、原価予測・管理が難しい。ベテランでも人力作業には限界がある。そこで効率化しつつ「飲食業で働く人と食事をする人の両方に喜びを提供するため、このロボットを開発した」と沢登社長は話す。
犬などのキャラクターを外観に設定できるロボットには、カメラや重量センサーなどを内蔵した。まずカメラで客の動きを捉え「ようこそ」などと語りかける。店員や客がコーンやカップをセットしたことが重量センサーでわかると、ソフトクリームサーバーに指示し既定量を出させる。ロボットらしく「ウィーン」と唸りながら、きれいに巻きおわると差し出してくれる。
生産能力は1時間当たり133個で、1個なら27秒でつくれる計算だ。自動化により1個当たりのソフトクリーム使用量が安定するほか、商品の量や質の均一化にもつなげられるメリットがある。人の接触が少ないため、最近は新型コロナウイルス感染症の拡大防止にも一役買っている。
ロボットの“顔”となる外装は4種類から選べる。現在は犬と牛、恐竜のほか、ぬいぐるみがある。店舗オリジナルのぬいぐるみを着せることができ、客寄せ効果で他店舗との差別化を図れる。
こうした工夫ができるロボットは、全国のテーマパークや高速道路のサービスエリアなどの調理を“みせる”現場で活躍の場を広げている。ハウステンボス(長崎県佐世保市)では「ロボットのチャーミングな動きに『かわいい』とお客さまから喜びの声をいただいた」と好評だ。導入店舗はまだ少ない反面、使うとメディアや会員制交流サイト(SNS)で話題を呼ぶ。ある店舗では、他店との差別化や広報・宣伝効果で売り上げが導入前比で2・5倍増え、子ども連れ客が全体の5割を占めるようになったという。
ロボットの消費税抜きの価格は、1種類のソフトクリームを出すサーバーに対応したシングル機が1台150万円。バニラとチョコ、ミックスなど2種類のソフトクリームとその混合ができるサーバーに対応したダブル機は1台170万円だ。
現在はコーンやカップの自動セット精度を向上するための開発を進めている。実現すれば注文から提供までに人を配置する必要が一切なくなり、より便利になる。