【一覧】半導体の確保策は?経産省の補正予算案をまるっと紹介
生産基盤整備へ戦略推進
経済産業省は2021年度補正予算案の骨子を固めた。総額5兆4290億円を計上。先端半導体の生産基盤整備に6170億円を充て、半導体の確保に向けた取り組みを加速。さらに蓄電池の先端技術導入・開発促進事業に1000億円を投じ、国内製造基盤の整備を急ぐ。足元の景気を下支えするとともに、半導体や蓄電池など重要物資の確保に向けた戦略を推進する。
経産省が24日、自民党経産部会に21年度補正予算案の骨格を示した。同予算案はコロナ禍で苦しむ人々の暮らしや企業の経営を支える対策のほか、50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けたクリーンエネルギー戦略の推進、過疎化や高齢化など地方の課題をデジタル技術で解決に導く「デジタル田園都市国家構想」、経済安全保障などの項目が並ぶ。
経済安保の取り組みとして、半導体産業の基盤を整備するためのパッケージを準備。先端半導体生産基盤基金の6170億円で、認定を受けた先端半導体の生産基盤整備計画の実施に必要な資金の半分を補助する。半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に建設するロジック半導体工場の費用に充てられる見込み。
さらに半導体のサプライチェーン(供給網)を構築する上で必要となる、半導体の生産設備での脱炭素化に向けた取り組みに470億円を計上。日本企業の存在感が強いマイコンやパワー半導体などの製造設備の入れ替えや増設などの3分の1を補助する。さらにポスト第5世代通信(5G)情報通信システムの実現に必要な次世代半導体の研究開発などに1100億円を盛り込む。半導体の確保とともに、先端技術の研究開発を進め、国際競争力を高める。
さらにクリーンエネルギー戦略では、蓄電池の国内製造基盤の確保に向け、先端生産技術導入や開発促進事業に1000億円を計上。先端的な蓄電池や材料の生産やリサイクル技術による大規模製造拠点を国内に立地する事業に、建物や設備、生産技術に関する研究開発の費用を補助する。
さらに再生可能エネルギーの導入を促す系統用蓄電池の導入支援事業に130億円を盛り込む。10月に閣議決定された政府の新しいエネルギー基本計画では、30年度の構成電源に占める再生エネの割合の目標を36―38%程度としている。今後の再生エネの大量導入に向け再生エネの出力変動に対応する調整力の供出や、余剰電力を吸収できる蓄電池や水分解装置を導入する事業者に導入費用の一部を補助する。