ロボット4種34台が受付業務で活躍中、TISのオフィスが面白い
TISの豊洲オフィス(東京都江東区)では、4種類、計34台のロボットが受け付け業務を行う。来客の受け付け案内、会議室への誘導、ドリンク運びまで、業務内容に適した複数のロボットが活躍する。異機種を接続する構築力や、複数のロボットを統合管理するTISのマルチロボプラットフォーム(基盤)を活用。ロボット活用により、省人化のみならず、魅力的なユーザー体験を通じ、集客力向上にもつなげたい考えだ。(狐塚真子)
オフィスに到着した来客を出迎えるのは、米ダブルロボティクス(カリフォルニア州)の遠隔操作型アバター(分身)ロボット「ダブル3」。遠隔地からロボットを操作するスタッフがモニターに映り、客を受け付け用のタブレットへ誘導。使い方を案内する。
受け付け完了後は、米テミ(ニューヨーク州)の自律走行型誘導ロボ「テミ」が来客を会議室まで誘導する。同ロボットを会議室のあるエリアで稼働すると、内蔵の高機能センサー「LiDAR(ライダー)」で地図情報を取得する。これにより、指定した会議室までの自律走行が可能になる。
同センサーではガラスを壁と認識できない。地図情報を取得した後、ガラスを壁として情報を設定することで、ロボットの衝突を防いでいるという。
会議室入室後は、TISのスマートスピーカー「コエット」に話しかけると、アンドロボティクス(東京都港区)の配送ロボット「フルテラ」がドリンクを運ぶ仕組みも構築。複数の会議室から注文が入った場合でも、自動でルートを決め、各会議室へ配膳する。
コエットとフルテラのシステムはTISのロボット統合管理システム「ロボティック・ベース」で制御している。配送ロボットの位置情報や、待ち時間などの配送状況を監視できるため、有事の際も迅速に対応できる。
これら四つのロボットの活用により、来客への案内や誘導、飲料の配膳を行うスタッフのルーティンワークを低減することが可能になる。コロナ禍では、来客との接触機会を減らすことで、感染予防にもつながるとみている。今後、清掃、警備、点検業務などサービスロボットの適用範囲の拡大を検討する。
TISではロボティクス分野を注力事業と定め、施設管理や配送などのバックヤード業務から市場に参入している。19年には東京ビッグサイト(東京都江東区)の運搬・清掃・案内・警備ロボットの導入プロジェクトを支援した。
近年では、ロボットを活用した新規事業開発に向け、コンサルティングの依頼も増えているという。TISのAI&ロボティクスサービス部の中島徹也主任は「独立系システムインテグレーター(SIer)だからこそ、中立的な視点で幅広いロボットを提案できることが強み」と認識する。さまざまなロボットに関する運用ノウハウと、企画・検証から、開発、導入、運用まで幅広く支援できる総合力を武器に、さらなる事業拡大を狙う。