東大が分子の動きをVRで学べるアプリ開発。空間で分子に触れる?

スマホ上で挙動再現

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手軽にVRアプリを体験できる(東大と豊田中研提供)

東京大学の佐藤宗太特任教授は豊田中央研究所(愛知県長久手市)と共同で、分子の動きや相互作用などを仮想現実(VR)技術を用いて見て触れながら学習できるアプリケーション(応用ソフト)を開発した。立体めがねを装着し、スマートフォン上で水やデオキシリボ核酸(DNA)塩基対など人の目に見えない分子の挙動を再現。教育用ツールだけでなく、分子設計やVR空間で分子を触れながら複数人で試作するツールなど研究分野への応用も期待できる。

研究グループは中高生らが楽しく化学を学べるための教材としてVRに注目。スマホで分子の動きや相互作用を直感的に理解できるアプリを考案した。VR空間上で分子に触れられ、つまんだり動かしたりできるなど化学現象を直感的に理解できる効果がある。

分子の動きなどのシミュレーションには化学計算などに使われる高性能なコンピューターが必要。ただ、これまでスマホの処理能力では困難だった。そこで分子運動や手との接触などの計算プログラムを自作し、高速化できたことでリアルタイムに分子挙動を再現できた。また、スマホのカメラで手の動きや前後移動をVR空間で再現できる技術を導入。直感的に分子に触れられる感覚を実現した。

研究グループは17日に都立高校で開発したアプリの模擬授業を行う。分子の動きなどを学生に理解させることができるかを評価し、教育ツールとしての有効性を検証する。

近年、分子が理解できず化学に苦手意識を持つ中高生が増えているという。日本の産業技術を支える研究者を増やすためにも学生が化学に興味を持つ環境づくりが重要となっている。

日刊工業新聞2021年11月16日

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