豊田中央研、D―Waveの量子コンピューターで信号機群の最適化に成功
豊田中央研究所(愛知県長久手市、菊池昇所長)は10日、量子コンピューターを使って大規模な信号機群を最適制御する手法を開発したと発表した。計2500台の信号機を一斉に制御するシミュレーション試験で、従来手法に比べ車両の流れやすさを10%向上できたという。産学官連携による同手法の社会実装のほか、自動運転制御などにも応用して、量子コンピューターの利用法拡大につなげる考えだ。
都市全体を最適制御する計算モデルを、カナダのD―Waveの量子コンピューターを使って解く手法を開発した。縦50×横50本の道路が直行する都市で、一定の確率で右左折する車両群を想定して最適化問題を解いた。従来のパソコンを使った場合に比べ、高速かつ高性能な結果を得られた。
都市渋滞を回避するには交通量などに応じた信号機制御が必要だが、現在は時間に応じて変えるパターン制御が使われている。加えて従来の制御法は各交差点の周辺情報のみを反映したもので、都市全体の交通状況を同時に最適化する方法ではなかったという。
日刊工業新聞2021年2月11日