抗腫瘍免疫療法の開発に道、末梢の活性化B系統細胞が「GABA」を合成・分泌
理化学研究所生命医科学研究センターのシドニア・ファガラサンチームリーダーらは、アミノ酸の一種で神経伝達物質の「GABA(ギャバ)」が末梢(まっしょう)の活性化B系統細胞によって合成・分泌されることを発見した。B細胞由来のGABAは単球から抗炎症性マクロファージへの分化を誘導することで、抗腫瘍免疫反応を抑制することを突き止めた。抗腫瘍免疫療法や自己免疫疾患の治療法の開発に役立つと期待される。
共同研究グループは代謝産物を介した免疫細胞間の機能制御に着目し、免疫細胞における代謝経路の特徴が抗腫瘍反応に及ぼす影響について各種モデルマウスを用いて調べた。 次に単球からマクロファージへの分化過程におけるGABAの直接的な影響を検証した。試験管内で取り出したヒトやマウスの単球をGABA存在下でマクロファージに分化させると、細胞の増殖力と生存率が上がった。
免疫反応を沈静化させる「インターロイキン10(IL―10)」の産生を増強させることで、キラーT細胞の機能を阻害することも明らかにした。
京都大学や慶応義塾大学、日本大学との共同研究。
日刊工業新聞2021年11月12日