コロナワクチン接種による集団免疫に過度な期待は禁物の理由

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新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターを訪れる人たち(7日、大阪市北区の大阪府立国際会議場)

自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターの大阪会場で、京都府と兵庫県の65歳以上の高齢者が対象に加わり、接種が始まった。これで東京会場と合わせて7都府県に対象が広がり、当初想定していた最大の規模となった。

接種は防衛省ホームページや通信アプリ「LINE」を通じて専用サイトから予約する。14―27日の2週間分の予約が可能。28日から2回目の接種が本格化して予約枠が非常に少なくなるため、対象期間をこれまでの1週間から広げて、早めに申し込むよう促す。

対象地域は、5月24日のセンター開設当初は東京23区と大阪市のみだったが、同31日から東京、埼玉、千葉、神奈川と大阪の5都府県に拡大した。

日刊工業新聞2021年6月8日

COMMENT

志田義寧
北陸大
准教授兼経済ジャーナリスト

ワクチン接種がようやく軌道に乗り始めた。予約枠が埋まらず、ガラガラの会場もあると聞くが、そういう会場は高齢者にこだわるべきではない。接種対象を広げるなどして、接種率を高めていくことが必要だ。ただ、接種率はいずれ頭打ちになることも覚悟しなければならない。経済産業研究所が公表した1万人規模の調査によると、「接種するつもり」と答えた人は60.9%、「まだ決めていない」は30.1%、「接種しないつもり」は9.0%となった。実際、和歌山県北山村では希望者318人全員が2回の接種を終了したが、村の人口は約430人なので、接種率は74%で打ち止めとなっている。人口の一定割合以上が免疫を持つと、感染が広がらなくなる「集団免疫」に必要な接種率は正確には分かっていないが、世界保健機関(WTO)の専門家は1月の会見で70%超という目安を示した。デルタ株はさらに必要との見方もある。接種をためらう理由は何か、仮にそれが誤った情報によるものであれば、メディアや政府はそれを取り除く必要があるが、接種できない事情を抱えている人もいる。その意味で、集団免疫に過度に期待するのではなく、引き続き自分の身は自分で守ることが必要だ。

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