CO2削減へ、機能化学メーカーが自家水力発電所をテコ入れ

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新青海川発電所の建屋(デンカ提供)

二酸化炭素(CO2)排出量削減に向け、機能化学メーカーが自家水力発電所をテコ入れしている。デンカは水力発電所「新青海川発電所」(新潟県糸魚川市)の送電を始めた。2022年には、北陸電力との共同出資会社が糸魚川市で、新たな水力発電所を稼働予定だ。JNCは国内に13カ所ある水力発電所を順次改修しており、1月には内大臣川発電所(熊本県山都町)の営業運転を始めた。カーボンニュートラルなどの実現を目指し、再生可能エネルギーである水力発電の活用を加速する。(江上佑美子)

【再エネ拡大】

デンカは50年のカーボンニュートラル実現を宣言、施策の一つとして水力を中心とした再エネ比率を拡大する方針を掲げている。新青海川発電所の投資額は100億円で、安定操業に向け、遠隔操作機能を導入した。再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づき20年間売電した後、自家電力として用いる方針だ。

デンカは青海工場(新潟県糸魚川市)周辺に、現在16カ所の自家水力発電所を持つ。北陸電力との共同出資会社が22年に新姫川第六発電所(同)稼働後は、自家水力発電所の最大出力は計14・0万キロワットとなる。年間で約2万2000トンのCO2排出量削減に貢献すると見込む。

【水車など更新】

JNCはFITに対応し、13年に「電力事業部」を発足。収益性向上を目指し、水力発電所の大規模改修工事に取り組んでいる。内大臣川発電所は9カ所目の営業運転開始となる。48億円を投資して高効率の水車や発電機に更新し、認可取水量を変えずに出力を従来比1割増の8000キロワットに向上した。13カ所の最大出力は合計で9万7600キロワットとなった。

デンカ、JNCの水力発電所は川の水をためずにそのまま発電所に引き込む「流れ込み式」を採用している。大規模ダムが不要という点で、自然環境への影響が小さい。

NC親会社のチッソは1906年に最初の水力発電所を建設。デンカも1921年の青海工場操業開始当時から、カーバイド事業に用いる電力を安定して低コストで調達するため、自家水力発電所を活用している。

【SDGs対応】

両社が約100年の歴史を持つ水力発電事業のテコ入れを図る背景には、FITや設備の老朽化に加え、国連の持続可能な開発目標(SDGs)などへの対応が求められている点がある。

今後も、CO2排出量が少なく、国産エネルギーである水力発電の活用を推進していく考えだ。

日刊工業新聞2021年3月5日

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