完全回復遠い自動車メーカー8社の世界生産、「底を脱した」は本当か
乗用車メーカー8社が発表した9月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比35・5%減の155万9465台だった。世界的な半導体不足や東南アジアなどでの新型コロナウイルス再拡大が響いた。2021年度上期(4―9月)の世界生産台数は前年同期比11・0%増の1086万7415台。コロナ禍前の19年の水準には及ばないものの回復傾向にあったが、足元では部品不足で各社が生産調整をしている。完全回復には時間がかかりそうだ。
9月の国内生産はトヨタ自動車とホンダが2カ月連続のマイナス。日産自動車は北米向けのスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」の減少が響き、8カ月ぶりのマイナスとなった。
4―9月の世界生産台数は、コロナ禍の影響で大幅減となった20年の反動で前年同期比2ケタ増となった。スズキはインドでの回復が寄与し、同32・3%増と大幅に伸びた。ホンダは北米でライトトラックを中心に販売が好調だった。
今後も不透明な状況は続く。トヨタは11月の世界生産を当初計画比10万―15万台減の85万―90万台とする見通し。ホンダは11月上旬の国内生産を同1割減らす。
関係者からは「底は脱した」との見方が強いものの、予断を許さない。「影響を最小限にとどめたい。状況を注視していく」(トヨタ広報担当者)としている。
【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」
日刊工業新聞2021年10月29日