地域社会に根ざす名古屋市大でSDGsが果たす「のり」の役割

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環境中の化学物質が与える影響を妊娠段階から調べるエコチル調査(名古屋市立大学提供)

名古屋市立大学は5月に「名古屋市立大学SDGsセンター」を設立した。同大学の教育、研究、医療の成果を資源として、より包括的に国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関わるためのプラットフォーム(基盤)とする考えだ。既に生態系の保全に向けた研究や、都市の課題解決に向けた政策の研究など幅広い分野で成果を挙げている同大学。行政や企業との連携を深め地域社会に根ざした活動を展開している。

同大学ではSDGsに関連するさまざまな活動を展開している。小児ぜんそくやアレルギー疾患など子どもの病気や健康に環境中の化学物質が与える影響を妊娠段階から調べる「エコチル調査」を2011年から実施。全国10万組の親子を対象に、調査を通じて環境要因が子ども健康に与える影響を研究している。

同大学を中心とした「近未来労働環境デザイン拠点」では、人間工学とデザインの融合による労働環境の向上を目指して活動している。アイシンやオカムラなど複数の企業が参画する。労働者を元気にする製品開発やインターフェースデザイン開発などに取り組んでいる。

SDGsセンター開所式。学生がデザインした自動販売機を設置(名古屋市立大学提供)

名古屋市とは地域課題を解決するアイデアを同市内の大学生から募集する「SDGs アイデアフォーラム」を開催している。特に優秀なアイデアを表彰する。20年には82件のうち同大学の学生が提案したペットボトルのデポジットプロジェクトが最優秀賞を獲得。企業や行政などの協力を得て、名古屋市の東山動物園で、実証実験を行う計画だ。

センター長を務める林秀敏教授は「個々の研究や活動に対して、SDGsがのりの役割を果たしている」とその意義を語る。また、「学生だけではなく、研究者の主体的な参画が重要」だという。研究者や教員は研究に特化し、社会やSDGsに対する影響を理解していない場合もあるためだ。

同センターは今後、特定の企業をSDGsサポーターとする「サポーター制度」や、研究者にリーダーシップを付与する「アンバサダー制度」の設置を検討している。SDGsの活動を担う人材を幅広く育成する方針だ。

日刊工業新聞2021年9月21日

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